■■■人間工学研究室■■■
お茶の水女子大学 生活科学部 人間・環境科学科
同大学院 人間文化創成科学研究科 生活工学共同専攻
少子高齢社会に進む流れのなかで,誰にでも使いやすい生活支援技術が求められています.本研究室は先端科学技術の福祉や医療分野への応用を専門とし,研究 活動を行ってきました.人間工学・医用工学(Biomedical Engineering)という新しい学問分野を専門とし,医療や福祉の現場,さらには,家庭で役立つ機器やシステムの開発を進めています.具体的には, リハビリテーション工学,福祉工学,健康工学,医用工学,生体計測などの開発テーマを中心に研究を行っています.Quality of Lifeの向上をはかりつつ,人に優しい(侵襲の低い)機器システムを開発するには,医学・生物学と工学(物理・化学)の基本的知識が必須となるだけでは なく,試作したシステムを現場・臨床に持ち込んで評価する必要があります. |
主な研究テーマ 高齢者の転倒予防デバイスの開発 → TOF方式3次元距離測定カメラ → 光トポグラフィの応用 → RFIDタグを用いた手術器械の個体管理システム → 低侵襲性手術支援システム → ユビキタス実験住宅におけるヘルスケアシステム → 原子間力顕微鏡を用いた細胞微小環境の機械特性計測 → 原子間力顕微鏡による生体試料観察 → |
動画像情報を利用した生体バイタルサイン計測 → 生体磁気刺激 → 初期褥瘡の無侵襲検出に関する研究 → 脊髄損傷者用歩行補助装置の開発 → 車いす常用者のための下肢運動訓練支援装置 → 対麻痺者のための新しいモビリティデバイス → 養護学校における災害・避難訓練システム → 小児歯科治療におけるストレスモニタリング → |
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博士論文 Time-lapse 画像を利用した循環機能計測デバイス(2006年度)(豊島ケーブルネットワーク株) 生体電気インピーダンス法による皮膚紅斑の電気等価モデル解析(2010年度)(株タニタ) 日常生活中での足圧計測を目的とした靴型デバイス(2011年度)(公務員) 脊髄損傷者の動力歩行における膝関節屈曲動作の意義(2012年度)(TOTO株) 足圧計測デバイスを用いた高齢者の歩行機能評価(2014年度)(産業技術総合研究所研究員) 手術器械のシームレス ID 情報取得システムとパフォーマンス評価手法(2015年度)(東京女子医科大学先端生命医科学研究所特任助教) 足底圧に基づく変形性膝関節症の非侵襲評価法(2016年度)(産業技術総合研究所研究員) |
近年の主な卒業論文 住居内歩数計測システムの開発と検証 〜床振動を用いた歩数抽出方法〜 3軸触覚センサを用いた足底剪断力計測インソールの開発 覚醒下脳神経外科手術における脳機能マッピング工程のモデル構築と基礎評価 小児歯科治療に用いる感情表出デバイス 転倒予防教室による介入が国民健康保険に及ぼす影響 歩行時におけるインソールによる足圧中心軌跡の変化と足圧中心軌跡の膝の動きに及ぼす影響 歯科治療における小児患者の握力値モニタリングの可能性に関する研究 刺激の視認位置変更がラバーハンド錯覚中の触覚に及ぼす効果の検証 静止立位時重心動揺に影響を及ぼすライトタッチ位置の検証 細胞内力が起こす足場ゲルの変形に関するシミュレーション 臨床現場における使用を目的とした身体動揺計測方法の開発 住宅における床振動を利用した生活者の位置特定方法の検証 三次元距離カメラを用いた身体動揺量計測ツール開発 動画像解析による心拍動計測メカニズムの検証 動画像を用いた瞬時心拍数およびHeat Rate Variabilityの非接触計測 BCIを目的としたNIRS信号計測:手指運動由来の脳活動情報の抽出 伸張反射の速度依存性評価を可能とした足関節受動運動装置の開発 |
近年の主な修士論文 マイクロ流路を用いた腸内細菌を超高速純粋単離する培養ロボットの開発 床振動を用いた住居内における身体活動モニタリングシステムの開発 動画像を使用した生体情報計測に関する研究 歯科治療中の患者のストレスの定量的かつ即時的な評価法に関する研究 静止立位時の姿勢維持戦略における体幹回旋運動の意義 三次元ToFカメラを用いた高齢者の静止立位姿勢計測 居住空間における床振動を利用した歩数計測方法 足部アーチ構造に着目した靴型バランス機能計測器による高齢者の姿勢制御能評価 3次元距離カメラを用いた静止立位姿勢動揺の非侵襲計測およびシミュレーション 生体組織モデルの機械及び電気的解析シミュレーション 動画像を用いたストレス性皮膚血管反応の検出 回想療法施行中における前頭前皮質の血流状態計測〜回想療法の効果との相関性の解析 Radio frequency identificationタグを用いた手術器械の個体管理システムの開発に関する研究 足関節他動運動時における脊髄損傷者の生理応答 高齢者の転倒予防を目的とした足圧計測デバイスによる歩行機能評価 Time Lapse画像を用いた細胞の運動及び形態変化の解析 ニューロリハビリテーションのための生体のニューメリカル・モデリング |
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◎とくに近年では,下に掲げた主な研究テーマ以外にも,高分子/ゲルの機械特性の評価法に関する研究,
簡便な腰椎穿刺法に関する研究,椎体骨圧迫骨折の判定法に関する研究,腸内細菌の
新しい培養技術に関する研究,ヒト前足部(MP関節)の歩行機能評価に関する研究,
深層学習を用いた神経膠腫の分子サブタイプ予測,など,医療福祉から物質に至る
多彩な研究テーマを他機関との共同研究として近年実施してきております。加えて,
Julien Tripette准教授との健康工学(身体活動量の評価・解析・応用手法)に関する研究にもとくに力を入れてきております。
それらの研究の最新状況の詳細に関しましては,アカデミックの方々も,企業の方々も,ビジネス分野の方々も,どうぞご遠慮なくお問い合わせ下さい。
主な研究テーマ ■ 高齢者の転倒予防:歩行バランス機能の計測のための靴デバイス ![]() △ このページの上部へ △ ■ 小児歯科治療におけるストレスモニタリング ![]() △ このページの上部へ △ ■ TOF方式3次元距離測定カメラ ![]() ![]() △ このページの上部へ △ ■ 光トポグラフィの応用(インタフェース,リハビリ,高次機能) ![]() △ このページの上部へ △ ■ RFIDタグを用いた手術器械の個体管理システム ![]() △ このページの上部へ △ ■ コンピュータ外科(Computer Aided Surgery):低侵襲性手術支援システム ![]() 侵襲性(出血や痛み)の低い外科手術の実現を目指して研究開発が進められています.ここでは.血液が満たされている心臓(心室)の内部を,心臓を止めるこ と無く観察するための内視鏡の開発を行いました.CCDカメラを備えた内視鏡の先端(同軸ジェット・ノズル)から,透明な血漿を勢い良く噴出することで, CCDカメラの前を透明な状態にして観察を行います.つまり,内視鏡正面の血液を透明な血漿に一瞬置き換えることにより観察が可能となるのです.心臓は拍 動を続けたままの状態で観察することになりますので,観察時に心臓に過大な負荷を与えることがないように,拍動タイミングと血漿の噴出タイミングを合わせ る技術も開発しています.本技術によれば,人工心肺を利用することなく心臓内部を観察することができるため画期的な技術と言えます.動物実験を通じて三尖 弁の映像を得ることができました.弁疾患の診断に有効と考えられます.(東京大学との共同研究です.) △ このページの上部へ △ ■ ユビキタス実験住宅におけるヘルスケアシステム 高齢社会に入り個々人が自己管理するヘルスケアシステムが求められており,現在,さまざまな生体計測技術を利用し,在宅で利用できるモニタ・計測機器とし て,ウエアラブルデバイス,家具組み込み機器などが開発されてきています.さらに近年では,発展著しいユビキタスコンピューティング技術を居住環境に導入 した在宅ヘルスケアシステムも盛んに研究されています.ここでは,実験住宅Ocha houseを 利用することで,身体を拘束することなく,ウエアラブルデバイスなど何も身につけることのない状態で,歩行関連情報を得る手法の開発を進めています.具体 的には以下を実施しています.(1)建築躯体に加速度センサを埋め込んだ生活空間を創出し,住居内を生活者が移動する際の床振動から歩行情報を収集する手 法を考案・構築する.(2)床振動計測と並行して歩行バイオメカニクス計測を行い,両データを比較することで,歩行時の床振動の発生伝搬メカニズムやバイ オメカニクスパラメータの計測精度検証を行う.それらを踏まえて,計測された歩行データを利用したヘルスケア・アプリケーションを考案するとともに,被験 者の短期居住実験を通じて有効性の検証をすすめています.Dr. J Tripette(Assoc Prof)との共同研究です. ![]() △ このページの上部へ △ ■ 原子間力顕微鏡を用いた細胞微小環境の機械特性計測〜細胞分化メカニズムの解明 ![]() △ このページの上部へ △ ■ 原子間力顕微鏡による生体試料観察:機械的ストレスによる赤血球溶血現象のナノスケール解析 ![]() △ このページの上部へ △ ■ 動画像情報を利用した生体バイタルサイン計測 ![]() △ このページの上部へ △ ■ 非接触電気刺激としての生体磁気刺激 ![]() △ このページの上部へ △ ■ 初期褥瘡の無侵襲検出に関する研究 △ このページの上部へ △ ■ 脊髄損傷者用歩行補助装置の開発 ![]() △ このページの上部へ △ ■ 車いす常用者のための下肢運動訓練支援装置 ![]() △ このページの上部へ △ ■ 対麻痺者のための新しいモビリティデバイス 対麻痺者にとって,再び自分の足で立位歩行できるようになることは切なる願望です.その実現の可能性のひとつとして装具歩行がありますが,現実的には装具 歩行の訓練には力点が置かれていません.不全麻痺など対麻痺の程度によっては装具歩行の可能性があるにも係わらず諦めているケースも見られます.その原因 として,対麻痺者やリハビリテーション関係者が歩行装具の性能や品質,歩行訓練の限界を感じていることを指摘できる一方で,歩行装具を介助なしに装着し, 起立し,立位姿勢を保持し,杖や歩行器を取り,歩行に移行することが難しい現実も影響していると考えられます.本研究では,装具歩行の促進を目的として, 介助なしに装具を装着し,歩行に移行することを支援する車いすシステムを構築し,立位歩行と座位移動をシームレスに選択できる新しいモビリティデバイスの 開発を進めています.具体的には、介助なしに装具を装着し,起立し,装具歩行に移行することを支援する機能を簡易電動車いすに組み込んだシステムです.こ のデバイスは,使用者が車いす上で装具を装着して,建物間の移動など比較的長距離の移動では車いすとして利用し,フロア内でのスポット的な移動やリハビリ 訓練を兼ねた移動などには歩行装具による立位歩行を活用するという使い方をするもので,使用する機器間で移乗なしに利用できることを特徴とします. (職業能力開発総合大学校との共同研究です.) ![]() △ このページの上部へ △ ■ 養護学校における災害・避難訓練システム ![]() △ このページの上部へ △ 担当授業科目(2021年度) (学部)数学物理学演習1,機械と運動,人間工学,計測工学,電子工学,デザインとテクノロジ,デザイン工学演習,設計製造演習,インターンシップなど. (大学院)生活医用福祉工学,生活生体工学,生活支援工学,同演習など 非常勤 電子工学,計測工学(池見東京医療専門学校) / 医用精密工学(中央大学理工学部精密機械工学科) / 生体力学論(千葉大学工学部) 研究室見学について 人間工学研究室では大学院前期(修士)ならびに後期(博士)課程の学生を募集しております.入学試験の詳細につきましては,生活工学共同専攻のページをご確認下さい. ●研究室の見学につきましてはメールでご連絡ください。研究会(研究室ゼミ)にも参加頂けます。(ただし,本学学生ならびに入学を検討されている方とさせて頂きます.) ●当研究室の専門領域であるBiomedical Engineeringは,多岐に渡る学問分野を基盤としています.また,ほとんどの研究テーマで,様々な分野の学外専門家,医療従事者,メーカ、ユーザ らと,密接に連携しながら研究開発を進めております.このような共同研究の「場」を活用し,実践研究を通じて総合的な研究能力を磨いてください. ●研究テーマは自由ですが海外文献データベース(PubMed)に基づくようにお考え下さい.このデータベースに論文が載ることを目指しましょう. ●学問的なバックグラウンドに関しては,理・工学系の基本的素養が身についていれば,本研究室ではそれ以上とくには問いません.様々な分野の出身の方が多 いほうが研究活動の視点を広げることができて良いと考えております.現在までに,本校(理学部,舞踊教育学),東洋大学,東京電機大学,弘前大学,岩手大 学,東京医療保健大学,名古屋工業大学,東京農業大学,東京理科大学,北里大学,奈良女子大学,日本大学,芝浦工業大学,日本女子大学,津田塾大学などから入学して頂 いております. ●本専攻では,修士・博士の学位取得の為の条件を明らかにしておりますので,他大学・他学部・他専攻からの方も問題無く研究活動に取り組んで頂けます.(条件の詳細につきましてはお問い合わせください.) 研究室メンバー (2021.4) 太田裕治(副学長/基幹研究院自然科学系,教授),Julien Tripette(文理融合AI・データサイエンスセンター,准教授) 大学院(D3) 小室有子さん,中山祐里さん,任点さん 大学院(D2) 福田いつみさん、神田麻理恵さん 大学院(M2) 北山亜紗美さん,竹内みのりさん 大学院(M1) 本田理夏さん,早野七夏海さん,三森彩音さん 学部(B4) 折原有咲さん,中島柚季さん,羽鳥仁美さん 最終改訂年月日:2021年4月15日 掲載責任者:太田裕治 連絡先:ohta.yuji@ocha.ac.jp |