2021年1月にスタートした建築環境工学研究室では都市・建築の周りの気象現象,特に熱環境・風環境をキーワードとして研究を進めていきます。特に,ヒートアイランド現象に代表されるように都市気候の変化が顕在化する現在の都市・建築では立地・気候特性を生かした街区や建築外部空間の設計が重要になってきています。また,猛暑時の市街地の暑熱リスクや巨大台風下での強風被害等,都市・建築の周りの様々な気象現象に関する危険性を評価し,設計にフィードバックしていくことが重要となっています。
■研究テーマ
都市・建築の立地・気候特性を読み,課題を見つける
実際の都市や建築に対する観測・数値解析(数値流体解析,建物熱負荷・エネルギー計算,屋外熱収支解析,メソ気象モデル解析etc.)を通じて 都市気候や建築物の周りの熱環境・風環境を把握し,立地・気候特性を生かした環境設計のための知見や課題を提示します。 また,地方都市の空地化等,市街地の今後の空間形態の変化が建築・都市の熱環境・風環境に及ぼす影響について研究しています。
- 熱放射,風通し,換気から見た空地の熱環境評価と活用法(市街地の空間形態の変化と熱環境の関係を探る)
- パッシブデザインの熱環境(+光環境)の評価(潜熱蓄熱材,膜構造建築etc)
- 市街地内における風速・気温の非定常的な変化(秒スケールの瞬間的なピークの発生など)に関する観測と実態把握
図:市街地の空間形態の変化と熱環境・風環境の関係
【関連研究】(J-stageの論文にリンクします)
熱環境設計のための伝熱モデル,設計支援ツールをつくる
本研究室では建物の立地・気候特性を活かしながら環境負荷が小さく,熱的に快適な建築物を設計するパッシブデザインに着目し,パッシブデザインの評価に必要な伝熱モデルの構築や,BIM(Building Information Modeling)に基づく環境設計を支援するためのツールの開発・検証を行っています。
BIMと熱負荷計算が連係した熱環境設計支援ツールの開発(良好な街区や建築外部空間の設計を活用した住宅の熱環境設計の支援)
省エネルギー基準義務化に対応した熱環境設計の支援方法の提案
BIMから作成した熱負荷計算モデル(左図),パッシブデザイン(ダイレクトゲインシステム)のための建築内外の熱環境解析(右図,室内の日積算日射量)
【関連研究】(J-stageの論文にリンクします)
非日常的に起こる気象現象に適応する建物をつくる
熱波による市街地の猛暑や巨大台風下での強風被害等は発生頻度の少ない非日常的な現象ですが,私たちの生活に深刻ダメージや健康上のリスクをもたらします。本研究室ではこうした気象現象を数値シミュレーションで再現し,都市・建築空間での危険性を把握するための数値モデルの開発や評価を進めています。
メソ気象モデルと数値流体解析の接続法に関する改良
市街地に発生する風速・気温のピーク値の評価と発生要因の解明
【関連研究】(J-stageの論文にリンクします)